1. 事業の成功は「仲間選び」で決まる
どんな事業をやるかも大事ですが、結局のところ「誰が何をやるか」で差が生まれます。
事業内容そのものよりも大事なのは、
- 誰とやるか
- どうやるか
- 進める人の考え方
- パートナーの選び方
ここに全てがかかっています。人を選び間違えると会社の成長はまずありません。逆に「他の人とやっていたらうまくいっていたかもしれない」というパターンも実際に多くあります。
だからこそ、まず「どういう人を選ぶべきか」という判断基準を明確にしておく必要があります。
2. 経営で一番変わった考え方
「自分が一番儲かればいい」だった20代
20代前半〜後半まで、正直「自分が一番儲かればいい」という考え方でした。口では「会社のため」「みんなのため」「世の中のため」と言いながら、実際は私利私欲にお金を使い、自分がやりたいことを優先していました。
自分が現場に出ないと会社が回らない、自分が休むと売上が落ちる——完全に自分に依存した経営をしていたんです。
なぜ「仲間を儲けさせる仕組み」が作れないのか
「仲間が儲かる仕組みを作ろう」というのは誰でも言えるフレーズですが、実際にはできません。理由は明確で、創業期はとにかくお金がかかり、社員より自分の方が圧倒的に働いている、という状況になるからです。「自分が一番やっている」という考え方が、自然とさっきの「私利私欲」の思考に戻ってしまうんです。
起業したてで「みんな儲けさせてやろう」なんて綺麗事は、正直言えません。ここが本当に難しいところで、「仲間を儲けさせる」というフェーズに到達するのは相当レベルが高いことなんです。
会社は誰のものか
会社は基本的に株主のものです。多くの場合、社長が100%出資しているので「社長のもの」という発想になりがちで、これが「自分が一番儲かればいい」という考え方につながってしまいます。
でも、ここで絶対に履き違えてはいけないのが、
会社は株主のものだが、会社が稼いだお金は、社長だけでなく従業員・スタッフ・アルバイト、みんなで達成して稼いだお金である
という点です。この考え方を持てないと、会社運営は100%失敗しますし、会社は大きくなりません。
考え方を変えた結果
この考え方に変えてから、現場に出る仕事はほとんどなくなりました。以前は「3分の1の時間」どころか、もっと少ない稼働です。それでいて、会社全体の利益は当時の5倍以上になっています。30歳の頃に起業していたときより、今の方が圧倒的に稼げています。
理由は、時間を任せられるスタッフがいる、役員がいる、新しい社長がいる——人に任せ、みんなを儲けさせる仕組みを作ったからです。
3. どんな人を選べばいいのか
学歴・経歴では判断しない
まず大前提として、学歴や経歴では絶対判断しません。その代わり大事にしているのは、この2つです。
- 自分で考え、自分で行動して、人の時間を奪わない人
- 自分に問題が起きたときに、自分の考えと提案を持てる人
これって当たり前のように見えて、意外とみんなできてないんですよね。でも、ちゃんと育てたら、普通の人はみんなできるようになります。だからこの2つを僕は基準に置いています。
社長の仕事とは「答えを出す」ことではなく「決定する」こと
社長の一番重要な仕事は、答えを出すことではありません。答えを出すのは従業員やスタッフでよく、その意見に対してイエスかノーかを判断し、決定するのが社長の本来の仕事です。あとはそれをいかに遂行していくかがメインの仕事になります。
だからこそ、スタッフや従業員が「社内で意見を言いやすい環境」を作ることが重要です。大きな会社では自分の声が届きにくいと感じる人が多いと思いますが、中小企業やベンチャーは声が通りやすい環境です。これから起業する人たちには、最初からそういう社内づくりを意識してほしいと思っています。
人間性よりも能力を優先する
これは誤解を招きやすい話ですが、あえてはっきり言います。ビジネスにおいて人間性は、正直そこまで必要ありません。
ビジネスは遊びではなく、結果を出しに行くものです。人間性よりも能力が高い人間を社内に入れる方が重要になります。
人間性について求める最低条件は、この3つだけで十分です。
- 嘘をつかない
- 約束を守る
- 誠実である
この3つさえ守れるなら、「いいやつかどうか」は正直どうでもよく、あとは仕事へのスキル・能力の高い人を入れるべきです。
一緒に仕事をしない人の基準
「採用する基準」だけでなく、「何をやらないか」も同じくらい大事です。以下に該当する人とは一緒に仕事をしません。
- 嘘をつく人
- ネガティブな人
- 周りの空気を悪くする人
- チームの価値観に合わない人
社長や役員の悪口を言っているような会社は、大体うまくいっていません。人も辞めるし、会社の規模も大きくならない。これに該当する人は容赦なく切ります。会社のオーナーでも、お客様であっても同じです。会社組織もフランチャイズも、個人戦ではなくチーム戦で戦っているということを常に心に置いて運営することが大事です。
4. 報酬・株の考え方
社長が一番給料をもらうべきではない
報酬設計における大前提として、社長が一番給料をもらうべきではないと考えています。会社にどれだけ利益をもたらしているか、という「価値を生み出している人」にこそ、自分より高い報酬があってもいい。
評価は肩書や経歴、年齢・立場ではなく、数字で見た価値で行います。
役員への給料の渡し方
役員候補として迎える場合、株を渡すことがあります。自分事として会社を運営してもらうためです。
渡す割合は状況によって変わります。例えばこんな感じです。
- 自分が0→1で立ち上げ、黒字化して仕組みが完成した段階で、足りないリソースを補ってくれる同等レベルの人材が加わる場合 → 約30%
- 0→1を一緒にやり、事業案や出資も一緒に背負う場合 → 約40%
なぜ30%or40%なのか?——会社の事業内容など、重要な事項の意思決定には株主の賛成が必要です。そして、株主が複数いる場合の意思決定には、株主の議決権の2/3以上の賛成が必要になります。つまり、議決権の40%を保有していると賛成反対を述べる権利を与えられ、30%だとその権利がありません。
一方、100%自分が株主の会社では、株を渡さない代わりに役員報酬を自分より高く設定しています。バランスの取り方は会社ごとに変えています。
株を持つことのメリット
- 会社売却・上場時の売却益
- 役員が退任する際、社長が株を買い取るケースも設計可能
- 株主配当
中小企業が陥りがちな「安月給で人を集めたい」という罠
優秀な人材が欲しいのに給料を安く設定したがる社長は非常に多いです。しかし、業界平均より少し高めの給料(たとえば時給+200円程度)を払う方が、結果的に採用コストや離職コストを大きく削減できます。採用広告費をかけて人が集まらない方が、よほど非効率です。
給料設計の基本方針:
- 役員・社長クラス:創業期は同額でもOK、業績連動で大胆に上下してよい
- 正社員・アルバイト:業界水準より高めに設定する
創業メンバーとして迎える優秀な人材への給料設定は、自分と同じ給料にするのがシンプルでおすすめです。同じ給料であれば「一緒に頑張ろう」というモチベーションが生まれ、二人三脚で給料・利益を上げていく関係が作りやすくなります。
5. 最後に:「金儲けより人儲け」
創業したての経営者ほど、目先のお金を追いかけがちです。月100万円の利益が出たら、給料をすぐ50万円取り、経費で20〜30万作り、残りは20万程度——というパターンが多いのですが、これは絶対にやらない・やってほしくないと伝えています。
給料は適正価格に抑え、会社にいかに利益を残すかを優先する。残した利益を福利厚生や社員の給料、会社をよくするための投資に回すことで、結果的に会社の利益は5倍・10倍という規模で伸びていきます。長期的に見れば、それが一番自分の取り分を増やすことにもつながります。
大切にしている優先順位は、
金儲けより人儲け
お金を稼ぐ前に、まず人を儲けさせる。人を幸せにすることを優先する。
- 人を大切にする
- 人が成果を出せる環境を作る
- 人が豊かになる仕組みを作る
- 会社が成長すれば、お金は後からついてくる
経営者の仕事は「一番頑張ること」ではなく、優秀な仲間を見つけ、活躍できる環境をつくり、正しい方向性のもとで利益を分配すること。この2つを、事業作りの学校のメンバーには特に持ち続けてほしいと思っています。
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