「法人化した方がいいとは聞くけど、実際どれくらい違うの?」
「銀行からお金を借りるとき、何に気をつければいい?」
事業を始めると必ずぶつかるこの2つの疑問。今回は財務コンサルタントの坂上さんにゲストとして来ていただき、現場で使えるお金の話をみっちり聞かせてもらった。
法人と個人、税率の差を数字で見ると驚く
まず税金の種類から整理しておこう。
個人事業主には所得税と住民税の2種類がかかる。法人には法人税と地方税の2種類がかかる。それぞれを合算した税率で比べると、差がはっきり見えてくる。
個人の所得税は累進課税という仕組みで、利益が増えるほど税率が上がる。最低5%から始まり、最高45%まで段階的に上がっていく。
大きな境目になるのが利益900万円のライン。ここを超えると所得税率が一気に33%に跳ね上がる。住民税の10%を合わせると合計43%が持っていかれる計算になる。
一方、法人の場合は法人税と地方税を合わせても、利益800万円以下なら約22%、800万円を超えた部分でも約33%で止まる。
つまり利益が900万円を超えてくると、個人(43%)と法人(33%)で約10%の差が生まれる。
1,000万円の利益が出たとき、個人だと手取りは約600〜700万円。法人にして役員報酬と会社の利益に分けて管理すると約700〜740万円になる。差額は年間100万円前後。これが毎年続く。
坂上さんが法人化の目安として挙げていたのが「利益800万〜1,000万円を超えてきたあたり」。税金面だけでなく、銀行融資の信用力という観点からも、事業を大きくしたいなら法人化を早めに検討する価値があるという話だった。
簿記を勉強した人ほど、この借り方を知らない
次が、今回の講義で一番「知らなかった」と感じた話。
簿記を勉強したことがある人なら「短期で借りる=1年以内に返す」というイメージがあるはずだ。でも実務の現場では、この知識が逆に足かせになってしまうことがある。
事業をしていると、仕入れてから売上の入金があるまでに時間差が生まれる。その間にも経費や人件費は出ていく。だから手元に常に一定のお金が必要になる。これが運転資金だ。
問題は、この運転資金を長期ローンで借りてしまうケース。
たとえば1,000万円を長期で借りて毎月返していくと、残高が500万円に減ったとき、また手元が足りなくなって500万円を借り直す。これを繰り返すうちに、気づいたら同じ1,000万円に対して2本分の返済が走る状態になる。
「売上は上がっているのに手元にお金が残らない」という経営者の悩みの多くは、ここが原因だと坂上さんは言う。
正解は「1年ごとに更新する借り方」
では正しい借り方は何か。
通常の事業活動の資金繰りに使うお金は運転資金として短期で借りるのが正解だ。
1年ごとに更新する形で借り続け、元金は返さず利息だけ払い続ける。毎年決算を銀行に報告して信頼を維持できれば、ほぼ更新し続けられる。
これによって1,000万円がずっと手元に残り続ける。返済で減っていかないから、手元のお金が安定する。
「短期で借りる=すぐ返す」という教科書の知識とは真逆の発想だ。でも実務ではこの借り方が資金繰りの安定に直結する。
ちなみに設備(車・機械など)を買うときの借り方は別で、その設備の使用期間に合わせた長期ローンで借りるのが正解。運転資金とは分けて考えることが大事だと坂上さんは強調していた。
「知っているか、知らないか」
それだけで、同じ利益でも手元に残るお金が変わる。事業を伸ばしたいなら、お金の仕組みを正しく理解することが最初の一歩だと、今回の講義で改めて感じた。
事業作りの学校では、こういった実務で使えるリアルな知識を現役のプロから直接聞ける機会が定期的にある。
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