今回の講義は初の試みで、勇校長と共同でアイス事業を立ち上げている生徒さんから、立ち上げのリアルと現場で学んでいることについて共有していただきました。
今後、事業作りの学校では、生徒さんにもご自身の事業について共有していただく機会を設けようと思っています。
受動的に情報を受け取るだけではなく、能動的に発信していくことでさらに濃い学びができると考えています。
今回は、その第一回目です。
『事業作りの学校』運営メンバーでもある現役大学生、川野さんからお話ししていただきました。
事業紹介
事業立ち上げまでの流れ
なぜアイス?
皆さんに一つ質問があります。
「やりたいこと or 稼げること」
事業をする上でどちらを優先しますか?
ここで言うやりたいことというのは『お金稼ぎでこの事業やってません』という人のことです。
結論から話すと、ここに正解はありません。
ではなぜ、このテーマを持ってきたのか?
それは、世の中の風潮として、「社会貢献のために起業しなさい」「お金目的で起業したらうまくいかない」など、何かしら社会を良くするために志を持って起業しないといけないという教えがあるからです。
よくあるビジネススクールや大学の起業プログラムでもよく言われますよね?
しかし、実際は起業家の多くは社会貢献のために起業した人ばかりではありません。
「お金を稼ぎたい」というのも立派な起業の目的です。
むしろ、成り上がり精神で起業した人の方が成功確率が高いです。
なので、これから起業を志す人は、別に立派な社会貢献を目的としなくても大丈夫ということをこの章の最初に伝えたいです。
アイス事業のきっかけ
きっかけは、NontitleというYouTube番組でした。
その中で、あるチームが明確な根拠をもとにアイス事業の提案をしていました。
それを聞いて、僕たちもアイス事業が良いと思い、始めるきっかけとなりました。
ここで、「それってパクリやん」と思った方!
その通りです。
しかし、ビジネスの基本は『TTP』。
『徹底的にパクる』です。
良いなと思ったものは取り入れて、自分のものにする。そしてそれをさらに良くする。
世の中のビジネスは9割パクりです。(スティーブ・ジョブズくらいになると話は変わってきますが笑)
なので、ビジネスの本質はパクることです。
エビデンス
ここからは、アイス事業に決めたエビデンスを紹介します。
下3つのデータを見てください。



まず一番上のデータからです。
このデータは日本の平均気温の推移を示しています。
当たり前ですが、毎年気温が上がっています。
そして二つ目のデータは、アイスクリームの市場規模の推移です。
このデータが面白く、実は毎年アイスは、市場規模が最高値を更新しているのです。
この二つのデータから分かることは、日本の気温とアイスの需要には相関関係があるということ。
すなわち、今後のアイス市場は日本の平均気温が上がり続ける限り、大きくなっていくことが予想できます。
ちなみに、アイスクリームの市場規模は2023年時点で6,000億円を突破しています。これが多いのか少ないのかわからないと思うので、参考までにいくつか例を出しておきます。
ここまでのデータを見ると、「アイスって可能性あるんじゃね?」ってなりますよね。
さらにもう一つ面白いデータがあります。
3つ目のデータを見てください。
これは日本アイスクリーム協会が、2024年に10代〜70代の各年代男女100人ずつにアンケートをとった結果です。
内容は、好きなスイーツランキングで、アイスクリームが上位3位以内に入る確率は80%以上、1位に入る確率は50%近くあることがわかります。
そして、毎年好きなスイーツランキングで1位を走り続けているのがアイスクリームであることもわかります。
これらのエビデンスをふまえ、僕たちはアイス事業に挑戦することを決めました。
事業立ち上げに必要な考え方
負けないこと(失敗の確率を極限まで減らすこと)
事業立ち上げ時に必要な考え方の一つ目は、負けないことです。
言い換えると、失敗する確率を極限まで減らすこと。
そのために、意識すべき点を3つ共有します。
①責任感と覚悟
ビジネスは、アイデアと仕組みだけでは上手くいきません。
ここでいう『責任感と覚悟』というのは、『自分の意思で、自分の意見を持って行動できているか』です。
『やらされている人』と『自分でやっている人』の違いでもあります。
僕でいうと今回、勇さんという僕よりも遥かに経験値のある方と組ませていただいていますが、「勇さんがいるから上手くいくだろう」「勇さんが言うならその通りにしよう」ではダメだと言うことです。
例え勇さんが「こうしよう」と言っても、一度自分の中に落とし込んで理解し、自分の意見を持つことが大事になってきます。
もう一つ身近な例を挙げると、『責任感と覚悟』は質問の仕方にも現れます。
特に学生にも多いのは「〇〇どう思いますか?」という質問の仕方です。
これだと、相手に判断を丸投げしていて、全く自分の意思がないですよね?
なので正解は、「僕は〇〇だと思うのですが、勇さんはどう思いますか?」という質問の仕方です。
先に自分の意見を述べたうえで、経験値のある方に確認をする、アドバイスをいただく、くらいの感覚で質問しましょう。
これは、できていない人がほとんどなので、意識するだけで成長スピードが格段に上がります。
②数字を基にした戦略を立てる(エビデンスのある経営判断)


これは実際に、アイス事業の予測を立てている数値です。
実際に固定費がいくらかかって、アイス一つあたりの原価はいくらなのか。
毎月どれくらい売り上げれば利益が残るのか。
ここまで計算して、やっとエビデンスのある経営判断ができます。(僕たちはまだ商品開発の段階なので、あくまで予測の数字ですが、これから一つ一つ原価を計算し、綿密に数字を出していきます)
なぜこの数字が必要なのか。
それは、ビジネスの本質は上手くいかない前提で考えるからです。
思い通りに売り上げが上がる場合はそれで良いのですが、上手くいかないときにこの数字がなければ、どこをどう修正すればいいのかが分からなくなります。
なのであらかじめ、ある程度の数字を出し、基準値を設けておくことが大切なのです。
③固定費を下げる
多くの経営者が勘違いしているのが、『売上をいかに上げるか』にフォーカスしがちだということです。
しかし実際は逆で、ビジネスはいかに固定経費を下げられるかが重要になってきます。
なぜなら、売り上げは運やタイミングの要素が重なり、コントロールできないからです。
どれだけ完璧に準備していたとしても、いざ市場に出してみると思った通りにいかないことがほとんどです。
なので、あらかじめコントロールできる部分にフォーカスして、固定経費を下げておくことで、ビジネスがうまくいかなかったときに軌道修正しやすく、失敗の確率を大きく下げることに繋がるのです。
走りながら考える
事業立ち上げ期に必要な考え方の二つ目は、走りながら考えることです。
①スピード→量→質
多くの人は、質→量→スピードの順で進めると思います。
しかし、事業立ち上げ期においての正解は真逆です。
立ち上げ期は、スピードが命なのです。
市場は常に変化し、今日のチャンスが明日あるとは限りません。
現に、アイス屋の物件探しでも、数日差で先を越されるということが多々ありました。
また、最初から質を求めても、行動量が足りず、改善サイクルも遅くなります。
なので正解は、スピード感を持って手を動かす。
数をこなしてデータを蓄積し、改善を重ねて質を上げていく!です。
②70%の完成度
もう一つ重要なのは70%の完成度で市場に出すということです。
前章でも述べましたが、ビジネスは失敗する前提で進めなければいけません。
どれだけ時間をかけて、自分で100%の完成度だと思ったとしても、市場に出してみたらうまくいかないことがほとんどです。
なので、自分たちでコントロールできる部分(固定費を下げる、数字を基にした戦略など)を完璧にしたら、あとは市場に出してみて、顧客の反応を見ながら柔軟に改善していくことが大切です。
重要なことは、初期コストを抑え、まずは小さく始めてみる。
そして、事実を確認し、素早く軌道修正し、次に活かすこと。
アイス事業のマーケティング戦略
アイス事業では、主にこの2つのマーケティング戦略で戦っていこうと考えています。
ただ、最後に伝えたいのは、マーケティング戦略はあくまで手段の一つに過ぎないということです。
新規の集客には必ず限界が来ます。
新規→リピーター→ファン
店頭に来ていただいたお客様に、リピートしていただき、最終的にはファンになってもらわなければいけません。
なので、結局最後に大事になってくるのは、人の信頼です。
店頭での些細なコミュニケーション、ミスを犯したときの誠意のこもった対応など、人として当たり前のことをどれだけ当たり前に徹底できるかがすごく重要です。
WebやAIが発達している時代だからこそ、僕たちはこの人の信頼にこだわって、現場に出ようと思います。
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